
仕事と育児の両立でへとへと…
育児を理由に退職してもいいのかな?

育児を理由に退職することは決して珍しくありません。
しかし、退職する前に確認してほしいことがあります!
「仕事と育児の両立が大変」
「仕事を辞めてもっと子どもと過ごす時間がほしい」
そんな風に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
たしかに、仕事と育児の両立は本当に大変ですよね。
夕方帰宅した後は、お風呂、ご飯、寝かしつけとあっという間に時間が過ぎ、「子どもとゆっくり過ごせなかった」と自己嫌悪になる日もあるかもしれません。
実は、育児を理由に退職する看護師は少なくありません。
厚生労働省の調査では、退職した看護職員の理由として「出産・育児のため」が22.1%で最も多く、育児や出産が看護師の働き方に大きく影響していることがわかります。
ただ、勢いだけで退職を決めてしまうと、「もう少し制度を利用すればよかった」「転職先を決めてから辞めればよかった」と後悔するケースも少なくありません。
筆者も、育休明けに夫の転勤が決まり、退職を選択しました。
離職して約4年が経ち、看護師として復職できるのか、ブランクが長くなって大丈夫だろうかという不安もあります。
だからこそ、育児を理由に退職に踏み切ってよいのか悩む気持ちがよくわかります。
この記事では、育児を理由に退職してもよいケースや、退職前に確認しておきたいポイント、子育てと両立しやすい働き方について、私の体験談も交えながら詳しく解説します。
- 育児を理由に退職してもいいのか悩んでいる人
- 仕事と育児の両立がつらく、今の働き方を見直したい人
- 復職したけれど、家庭との両立に限界を感じている人
- 退職する前に利用できる制度や注意点を知りたい人
- 子育てと両立しやすい看護師の働き方を知りたい人
看護師が育児を理由に退職するのは珍しくない
「育児を理由に仕事を辞めたいなんて、甘えなのかな……」
そんなふうに悩んでいる看護師の方もいるかもしれません。
しかし、育児を理由に退職する看護師は決して珍しくありません。
厚生労働省が実施した「看護職員就業状況等実態調査(2011年)」では、退職した看護師の5人に1人が「出産・育児」を理由にあげています。
| 看護師の退職理由 | 割合 |
|---|---|
| 出産・育児のため | 22.1% |
| 結婚のため | 17.7% |
| 他施設への興味 | 15.1% |
| 人間関係がよくないから | 12.8% |
| 超過勤務が多いため | 10.5% |
出典:厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果」をもとに筆者作成
この結果からも、結婚や出産、育児といったライフイベントが、看護師の働き方に大きな影響を与えていることがわかります。
私自身も、育休明けに夫の転勤をきっかけに退職し、その後約4年間は看護師として働いていません。
退職を決断したときは、「ブランクができても大丈夫だろうか」「もう看護師として復職できないかもしれない」と不安でいっぱいでした。
ですが、今振り返ると、あのとき家族の状況に合わせて働き方を見直したことは、私にとって必要な選択だったと感じています。
もし今、育児と仕事の両立に悩み、「退職したほうがいいのかな」と迷っているなら、その気持ちは決して特別なものではありません。
大切なのは、勢いで退職を決めるのではなく、自分や家族にとって後悔のない選択をすることです。
育児を理由に退職したほうがいいケース
育児を理由に退職することは、決して悪いことではありません。
しかし、勢いだけで決めてしまうと後悔することも…
今の状況を冷静に振り返り、「本当に退職が必要なのか」「働き方を変えることで解決できないか」を考えることが大切です。
ここでは、退職や働き方を見直した方がよいケースを紹介します。
心身ともに限界を感じている
仕事と育児を両立するなかで、毎日疲れ切ってしまい、体調を崩したり、気持ちが落ち込んだりしていませんか。
夜眠れない、朝起きるのがつらい、食欲がない、何もする気がおきない、仕事に集中できずミスが多い、疲れ切って子どもに優しくできない…
それは心や体が疲れているサインかもしれません。
無理を続けると、自分自身の健康だけでなく、家族との時間にも影響を及ぼしてしまいます。
まずは休職や働き方の見直しも含めて検討しましょう。
子どもとの時間がほとんどない
朝は子どもが寝ているうちに出勤し、帰宅後は夕食やお風呂、寝かしつけに追われて一日が終わる。
「毎日一緒にいるのに、ゆっくり話す時間も遊ぶ時間もない」と感じている方も多いでしょう。
子どもが小さい時期はあっという間に過ぎていきます。
家庭で大切にしたいことを考えた結果、働き方を変えるという選択も決して間違いではありません。
家族のサポートが得られない
核家族化が進んでいる現代では、両親が遠方で、頼れるのはパートナーだけという方も多いのではないでしょうか。
パートナーの帰宅が遅い場合は、帰宅してからの家事育児を一人で担っている方も少なくありません。
急な発熱で仕事を休まなければならないことが続くと、職場に申し訳なさを感じたり、自分を責めてしまったりすることもあります。
ひとりで抱え込まず、今の働き方が生活に合っているかを見直してみることも大切です。
今の職場では働き方を変えられない
夜勤免除や時短勤務、部署移動を相談しても、対応が難しい職場もあります。
「夜勤は必須」、「急な休みに対応できない」という環境では、育児と仕事の両立が難しくなってしまうこともあるでしょう。
今の職場で改善が難しい場合は、子育てに理解のある職場へ転職することで、無理なく働き続けられるケースもあります。
退職は決して逃げではありません。
自分や家族の生活を守るために、働き方を見直すことも大切な選択肢の一つです。
退職する前に確認したい5つのポイント
育児と仕事の両立がつらく、もう辞めたいと思うこともあるでしょう。
しかし、勢いだけで退職してしまうと、「もっと制度を利用しておけばよかった」「転職先を決めてから退職すればよかった」と後悔することもあります。
ここでは、育児を理由に退職する前に確認しておきたいポイントを5つ紹介します。
時短勤務や夜勤免除は利用できる?
職場によっては、育児中のスタッフ向けに柔軟な働き方ができる制度を設けている場合があります。
- 看護休暇
- 短時間勤務
- 残業免除、残業時間の制限
- 夜勤免除、回数制限
- パートや非常勤への変更
制度を利用することで、退職せずに仕事と育児を両立できる可能性もあります。
部署異動はできる?
病棟勤務が大変でも、外来や内視鏡室、手術室など、比較的夜勤や残業が少ない部署へ異動できる場合があります。
部署が変わるだけで働きやすさが大きく改善するケースもあるため、一度上司や看護部に相談してみるのもよいでしょう。
家計への影響は?
退職すると、毎月の収入が減るだけでなく、賞与や各種手当もなくなります。
住宅ローンや教育費など、今後必要になる支出を考えたうえで、家計への影響をシミュレーションしておくことが大切です。
「少し働き方を変えるだけで生活できるのか」「しばらく働かなくても問題ないのか」を家族と話し合っておきましょう。
失業保険や保育園への影響は?
失業保険
雇用保険の加入期間など一定の条件を満たしていれば、退職後に失業手当(基本手当)を受給できる可能性があります。
ただし、失業保険は「働く意思と能力があり、求職活動を行っている人」が対象です。
そのため、「しばらく育児に専念したい」「すぐに働く予定がない」という場合は、すぐに受給できないことがあります。
一方で、育児などですぐに就職できない場合は、受給期間の延長手続きができるケースもあります。退職後に慌てないよう、ハローワークで確認しておくと安心です。
保育園
認可保育園を利用している場合は、退職後も継続して利用できるか確認が必要です。
多くの自治体では、退職後も一定期間は「求職活動中」として在園できますが、その期間内に再就職できない場合は退園となることがあります。
自治体によって取り扱いが異なるため、退職を決める前に、お住まいの市区町村へ確認しておきましょう。
制度を知らずに退職すると、「保育園を継続できると思っていた」「失業保険をすぐにもらえると思っていた」と後悔することもあります。
安心して新しい一歩を踏み出すためにも、退職前に必要な制度を確認しておくことが大切です。
転職先を決めてから辞めるべき?
可能であれば、転職先を決めてから退職することをおすすめします。
次の職場が決まっていれば、収入が途切れる心配が少なく、精神的にも余裕をもって退職できます。
また、転職活動では、求人票だけでは分からない「子育てへの理解」「急な休みに対応できる体制」「実際の残業時間」なども重要なポイントです。
転職サイトを利用すれば、こうした情報を事前に確認できるため、自分に合った職場を見つけやすくなります。
退職は人生の大きな決断です。焦って結論を出すのではなく、「今の職場で働き方を変えられないか」「家族にとって最適な選択は何か」を一つずつ確認したうえで判断しましょう。
私が育休明けに退職して感じたこと【体験談】
夫の転勤で退職を決意
産業保健師として勤務して2年たった頃に産休に入りました。
1年間の育休を経て、復帰した直後に夫の転勤が決まりました。
コロナ禍でリモートワークも取り入れられていましたが、企業への訪問業務もあったため、夫の転勤先から勤務を続けることはできませんでした。
産業保健師の仕事はとても好きだったので悩みましたが、家族との生活を優先し、泣く泣く退職を決断しました。
約4年間離職して感じた不安
私は娘が1歳のとき、夫の転勤を機に退職し、新天地へ引っ越しました。
「子供が保育園には入れたら復職しよう」と考えていましたが、自宅付近は駅近くの保活激戦区。
求職中は保育園の選考で点数が低く、1歳児・2歳児クラスともに入園できませんでした。
その後、娘が3歳のときに再び夫の転勤があり、新しい土地で幼稚園に入園。同じ年に第2子を妊娠・出産し、気づけば離職して4年が経っていました。
現在は復職に向けて第2子の保活をしていますが、0歳児クラスでも保留中となっており、改めて保活の厳しさを実感しています。
約4年間の離職期間があり、看護師として働いていたのは、もう6~7年も前のことです。
「今の知識や技術で医療現場に戻れるだろうか」「病棟勤務のような忙しい職場は、育児との両立を考えると難しいかもしれない」と、不安を感じることもあります。
本音を言えば、これまでの経験を活かせる産業保健師として復職できるのが理想です。しかし、地方では求人自体が少なく、希望どおりの職場を見つけるのは簡単ではありません。
そのため現在は、復職を目指して保活を進める一方で、子どもが家にいても続けられる在宅ワークにも挑戦しています。
離職期間が長くなると、「もう復職できないのでは」と不安になることもあります。しかし、看護師には病院以外にもさまざまな働き方があります。
私自身も焦らず、自分や家族に合った働き方を模索している最中です。
「辞めてよかった」と思えた理由
育児中心の生活は、毎日子どもと向き合う大変さや孤独を感じることもありました。
それでも、私は0~3歳の娘とたくさんの時間を過ごせたことを、今ではよかったと思います。
もちろん、すべての人に退職をおすすめするわけではありません。
しかし、私にとっては家族との時間を優先したことで得られたものもたくさんありました。
特によかったと感じている理由は、次の4つです。
- 子どもの成長を間近で見られた
- 子どもの「やりたい!」にじっくり向き合えた
- 時間に追われることが減り、心に余裕ができた
- 夫婦で協力しやすくなり、ケンカが減った
0~3歳は言葉が増えたり、一人で歩けるようになったり、自分でできることがどんどん増えていく時期です。
昨日できなかったことが今日はできた!という瞬間を、毎日そばで見守ることができたのはとても幸せでした。
また、時間に余裕ができたことから、娘の「一緒にお菓子を作りたい」「公園でどんぐり拾いがしたい」といった要望にもこたえることができました。
2歳の娘が、初めて卵を上手に割れたときの嬉しそうな顔を今でも覚えています。
共働きの頃は、お迎えの時間や家事・育児の分担で夫婦げんかになることもありました。退職後は夫婦で協力しやすくなり、我が家ではケンカになる場面も減りました。
もちろん家庭によって状況は異なりますが、わが家では、家族で過ごす時間が増えたことが夫婦関係にも良い影響を与えてくれたと感じています。
今だから思う、もっと早く知りたかったこと
離職して約4年が経った今、「これをもっと早く知っていれば…」と思うことがあります。
一番は、保活は思っていた以上に厳しいということ。
保育園に入れたら復職しようと考えていましたが、求職中は入園の優先順位が低く、希望通りに入園できませんでした。
自治体によって基準は異なりますが、復職を考えている方は、保育園の入園条件や選考方法を事前に確認しておくことをおすすめします。
次に看護師のブランクは思っている以上に不安になるということ。
退職した当初は、数年後に働ければいいかなと考えていました。
しかし、離職期間が長くなるにつれ、知識や技術についていけるかの不安が大きくなっていきました。
看護師は復職しやすい職業と言われていますが、ブランクへの不安は多くの人が感じると思います。
子育て中の看護師におすすめの働き方・転職のコツ
以前の私は、看護師=病棟勤務というイメージが強くありました。
しかし調べてみると、クリニックや保育園、健診センターなど子育てと両立しやすい働き方がたくさんあることを知りました。
もし退職を考えているなら、「辞めるか、続けるか」の二択ではなく、「どんな働き方、職場であれば育児と両立できるか」という視点で考えてみるのはどうでしょうか。
子育て中の看護師が働きやすい職場については、以下の記事にまとめています。

まとめ
育児と仕事の両立は想像以上に大変ですよね。
実際に復職してみると、仕事と家庭・育児の両立に追われ、「こんなはずじゃなかった…」と悩む場面もあるかもしれません。
育児を理由に退職する看護師は決して珍しくありません。
しかし、勢いだけで退職を決めてしまうと、後から「もう少し制度を利用すればよかった」「転職先を決めてから辞めればよかった」と後悔することもあります。
退職を考えたときは、まず今の職場で利用できる制度(時短勤務、夜勤免除、部署異動など)がないか、また退職後の生活への影響や失業手当の受給条件についても確認しておきましょう。
退職は決して失敗ではありません。
看護師には、病院以外にもクリニック、保育園、健診センター、企業、訪問看護など、子育てと両立しやすいさまざまな働き方があります。
大切なのは、「続けるか辞めるか」の二択で考えるのではなく、自分と家族にとって無理なく続けられる働き方を見つけることです。
この記事が、育児と仕事の両立に悩む看護師の方にとって、これからの働き方を考えるきっかけになれば幸いです。
参考文献
厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果」(2011年)
看護職員就業状況等実態調査結果 |報道発表資料|厚生労働省
(2026年7月7日閲覧)



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